2009/10/18

「クラフト」と「アート」の境界線をちょっと考えさせられた~糸キノコ展/kont~



先月(2009年9月)自由学園の明日館で行われた「ストッキスト」という展示会で初めて知った「kont」というブランドが、神楽坂の「La Ronde d' Argile」というショップ/ギャラリーで「糸キノコ展」という展示会を開催していたので行ってきました。

「knot/ノット」の作品というのは細い糸で編まれた華奢なアクセサリー(ブローチ、ネックレス、イヤリングなど)で、その目の細かさとそれを制作する労力に驚ろかされます。
一体、編み始めの「いち目め」はどうなっているのだろうか・・・と、想像するだけで老眼の目は”ぐしゅぐしゅ”してきてしまいます。
生成りと黒の糸に限定してナチュラル感を醸し出して「今っぽさ」を感じさせ、デザインを「キノコ」というモチーフにしたところで、メッセージ性と造形の面白さを感じさせられました。

手作りの一点ものとして販売されている手のかかった作品がやっぱり圧巻でした。
ただ、ブローチで4~5万円というところがアクセサリー感覚で衝動買いするには(時間が経つと劣化してしまいそうな素材で作られていることを考慮すると)微妙な価格という印象を持ちました。
勿論、手仕事の量を考慮したら金額には納得ですが・・・。ブローチの裏側に真鍮製の針金で作ったピン部分が付いていることで「これはアクセサリーです!」という主張をしているものの「これはアート作品です!」と言い切ることもできてしまいそうな「クラフト」と「アート」を曖昧に感じさせるところがあります。
アクセサリーとしてではなくアート作品と考えると、逆に安いと思えたりするのは不思議なものです。

殆どはアクセサリーとして台に置かれていたり、吊るされているのですが、いくつか編み物のキノコをガラス製の薬品を入れるような瓶に入れたている展示の仕方もしていたのですが、こんな風に壁いっぱいにキノコ入りの薬品の瓶がズラーっと並べらべて、アーティストとしての表現するメッセージがあれば「アート作品」としても成立してしまう気さえしてしまいました。
素材が金糸やプラチナ糸などだったりしたら、ジェエリーとしてのクラフトを極めた作品にもなるような気もします。
フェルト化したロープのような極太の毛糸で巨大なキノコをまったく同じ編み方で編んだら、草間彌生もビックリするような迫力のアート作品になってしまいそうです。

「糸キノコ展」というのはアクセサリーの展示会でしたが、見方によってはアートの展覧会のようでもありました。
クラフトっぽいアート作品があり、アートっぽいクラフト商品がある・・・その境界線というのは、作り手の意図や発表の仕方、そして芸術としての流通に乗せるか、商品として流通に乗せるかの、違いぐらいなのかもしれません。

knot #4 exhibition
「糸キノコ」
神楽坂/La Ronde d' Argile
2009年10月10日~10月15日

ブログランキング・にほんブログ村へ