2012/08/23

インドネシア産「悪魔のいけにえ」は血糊たっぷりのスプラッター”ちゃんぽん”映画・・・シャリーフ・ダーニッシュの怪演が”ミソ”なの!~「マカブル 永遠の血族」~



インドネシアで制作されたアジア映画史上最凶のスプラッター映画があるらしいという噂では聞いていたものの・・・日本では劇場公開されずに、DVDスルーとなっていた「マカブル 永遠の血族」を、遅ればせながらDVDで鑑賞しました。

前評判どおりインドネシア版「悪魔のいけにえ」といえる物語でありましたが、いろいろなスプラッター映画にオマージュを捧げた(パクった?)ような”ちゃんぽん”で・・・随所に痛々しい描写は満載ではあるのですが、ゴア的な要素は若干控えめという感じです。それでも「インドネシアにスプラッター映画あり!」と世界に知らしめた一作であるような気がします。インドネシア人というと、ミクロネシアっぽい人種を想像してしまうのだけど、本作に出演している俳優さんたちは、東南アジア系の風貌の人も入れば、中国系っぽい人もいるし、どこかの西洋人ともミックスしていそう・・・さらに、インド系も混じっているようにも見えるところもあり、結構、人種的には多種多様なんだということを知りました。

物語は、スプラッターにはよくありがち・・・新鮮な展開や、突出したオリジナリティーというのは、正直感じられません。父と母を交通事故でなくしたアジとラディアという兄妹・・・親の遺産を手にしてオーストラリアに移住するという兄アジと妊娠中の妻アストリッドをジャカルタの空港まで見送るために、アジの男友達3人(アラム、エコ、ジミー)と、妹ラディアの6人で車で出発することとなるのです。親の事故とか、遺産とかは、その後の物語に一切関係はないってところも、スプラッター映画にありがちな深い意味のない伏線なのかもしれません。

突然降り出した雨の中、いきなり車の前に現れた若い女性マヤを、6人は森の中の屋敷まで送り届けることになります。屋敷に到着して帰ろうとする6人を、母に紹介したいと無理矢理に屋敷の中へと誘うマヤ・・・実は、この屋敷に住むのは、不老不死のために人肉を食う一族であったのです!屋敷の女主人のダラは、マヤの母親とは思えないほど若々しく、二人いる息子たちは、まったく似ていなくて、兄はデブで無口、弟は冷たいハンサム・・・母親ダラは、娘を送り届けてくれたお礼に、ぜひ夕食をごちそうしたいと6人を引き止めるのです。勿論、この段階では観客には、彼らが何者かであるとか、殺す目的は何かなど、まったく分からないのですが・・・この家族は見てからにして怪し過ぎます!

ここからネタバレを含みます。



食事に薬を盛られて眠ってしまった彼ら(ラディア、エコ、ジミー)は、気がつくと倉庫のような部屋に縛られて拘束されています。別室では男友達のアラムが手術台に縛られており、デブの兄によって首をチェーンソーであっさり切られて殺されてしまいます。ここら辺のくだりは、あきらかに「悪魔のいけにえ」や「ホステル」シリーズを思い起こさせます。ヒロインの妹ラディアは、危機一髪のところデブの兄に逆襲して、逃げることに成功するわけですが・・・ここからは、血みどろになるばかりではなく、顔じゅうボッコボッコの腫れ上がるまで、壮絶な事態が待ち構えております。

さて・・・アジと身重のアストリッドは別々に拘束されてしまっているのですが・・・何とか逃げ込んだ屋敷の一室で、アスリッドは出産するというトンデモナイ事態になってしまいます!どうやら、女主人から出産を促進する薬を盛られたようなのです。血みどろの状態でアスリッドは何とか男の子を産み落とすのですが・・・勿論、赤ん坊は女主人ダラによって持ち去られてしまいます。「屋敷女」以来、妊婦に対する暴力描写が世界的に解禁されてしまったようなところがあって・・・「ムカデ人間2」でも、「ドリームホーム」でも、「セルビアン・フィルム」でも、妊婦はいたぶれまくってます。スプラッター描写の耐性が高いボクでも、妊婦への暴力シーンというのは耐えられません。ショッキングさを追求して、行き着いた先が”妊婦”なのでしょうか?

この一族は不老不死というだけでなく、何故かスゴい怪力の持ち主でもあり、倒しても倒しても生き返ってくるという、人間を超えた存在になっているようです。刺されようとも、焼かれようとも、銃で撃たれようとも、何度も起き上がって襲ってくるのは、まるでモンスターのようでもあります。人肉を食うことで、これほどの能力が身に付くというのは、正直、理解には苦しむところです。屋敷に立ち寄った3人の警官らを含めて、ラジャと赤ん坊以外は、結局、殺されてしまいます。血で床一面が真っ赤に染まった屋敷で、女主人ダラとアジェの死闘となるのですが・・・チェーソーを持って追いかけてくるダラは、まさに女版”レザーフェイス”!物凄い形相でチェンソーを振り回している姿は、トラウマになりそうなほどです。最終的には、ヒロインと赤ん坊は生き残り・・・殺人鬼は最後の最後になっても、まだ生きている痕跡を見せるというのも、スプラッター映画のお約束を守っております。

他のインドネシア映画が、どういうものなかは全く知りませんが・・・本作に関していえば、あらゆるスプラッター映画を研究していて、血糊の分量では、世界的にも負けていないと言えるでしょう!しかし、なんと言っても本作の”ミソ”は、シャリーフ・ダーニッシュという女優さんの、台詞は”棒読み”の不思議な怪演に尽きるのであります。




「マカブル 永遠の血族」
原題/Macabre
2009年/インドネシア、シンガポール
監督/脚本 : モー・ブラザーズ
       (キモ・スタンポーエル、ティモ・ティヤハヤント)
出演    : シャリーフ・ダーニッシュ、アリオ・バーユ、ジェリー・エスティール、シギ・ウィマラ、メルダ・セリーヌ、アリフィン・プトゥラ


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