2014/08/21

ジョーン・クロフォードとクラーク・ゲーブル・・・1930年代ハリウッド黄金期のゴールデンコンビ~「暗黒街に踊る/Dance, Fools, Dance」「笑ふ罪人/Laughing Sinners」「蜃気楼の女/Possessed」「ダンシング・レディ/Dancing Lady」「私のダイナ/Chained」「結婚十分前/Forsaking All Others」「空駆ける恋/Love on the Run」「ストレンジ・カーゴ/Strange Cargo」「ゼイ・オール・キス・ザ・ブライド/They All Kissed the Bride」~



クラーク・ゲーブルが共演した女優たち

「風と共に去りぬ」のレッド・バトラー役で映画史に永遠に名を残すクラーク・ゲーブルは、亡くなる年まで「キング」と呼ばれてハリウッドのスターでありました。男性観客向けの映画出演も多いのですが・・・スター女優との共演作も数知れません。 その中でも最も多い8度の共演をしているのが1930年代MGMのスター女優であったジョーン・クロフォード(マイヤ・ロイ7作品、ジーン・ハロウ6作品)・・・ジョーン・クロフォードとクラーク・ゲーブルは1930年代ハリウッド黄金期において、まさにドル箱スターの「ゴールデンコンビ」だったのです。


しかし、ジョーン・クロフォードとクラーク・ゲーブルの共演作品が語られることは、日本ではそれほど多くはありません。それは、これらの作品が大衆向けのスター映画として当時は興行成績は良かったものの・・・その後映画作家と呼ばれるような映画監督による作品でもなく、映画評論家から高く評価されるような作品でもなく、誰もが知っている原作からの文芸作品でもなく、また映画論に記述されるような際立ったスタイルで撮影された作品でもなかったので、映画史を振り返る時、繰り返し語り継がれることがなかったからなのかもしれません。

どの作品も”洋画の名作”と呼ばれているわけでもなく、職人監督によって”ソツ”なく作られた1930年代に量産された平均的な作品ばかり・・・ただ、ヘイズコード以前の倫理観や、当時の風俗や流行を知る上で、貴重な作品ではあります。また、ジョーン・クロフォードとクラーク・ゲーブルのスクリーン上での抜群の相性の良さは、制作されてから80年(!)経った今でも、色褪せることはないのです。

「暗黒街に踊る/Dance, Fools, Dance」


二人が初めての共演をした1931年当時・・・ジョーン・クロフォードはすでにMGMの「スター女優」で、ダグラス・フェアバンクス・ジュニア(父親はサイレント映画時代にキング・オブ・ハリウッドと呼ばれていた)の妻。一方、すでに30歳となっていたクラーク・ゲーブルは、MGMと契約したばかりの遅咲きの「新人男優」・・・共演1作目となる「暗黒街に踊る/Dance, Fools, Dance」は、ジョーン・クロフォード主演のスター映画で、クラーク・ゲーブルはジョーン・クロフォード直々の指名により、脇役のひとりとして出演することになったと言われています。

金持ちのわがまま娘のボニー(ジョーン・クロフォード)と気の弱い弟のロドニー(ウィリアム・ベイクウェル)は、社交界の友人たちや男友達のボブ(レスター・ヴェイル)と遊びほうける生活をしていましたが、恐慌のショックで父親が急死、その上”一文無し”になっていまいます。ボブのプロポーズを断り、自立して働くことを決心して新聞社で働き始めるボニー・・・同僚の記者スクラントン(クリフ・エドワーズ)が、暗黒街のボス・ジェイクの調査中に殺され、ボニーはジェイクの経営するナイトクラブにダンサーとして調査することになるのです。

サイレント映画時代”フラッパー女優”が代名詞だったジョーン・クロフォードですから・・・ダンサーのフリをして潜入調査するという役柄は”十八番”と言えるのかもしれません。ただ、当時のフラッパーダンスというのは手足をバタバタさせるだけ・・・ダンサーとしてのジョーン・クロフォードは、正直”微妙”です。

本格的な映画出演として、ほぼ第1作目(撮影時期は分かりませんが、公開されたのは最初)となる本作で、クラーク・ゲーブルは悪役の暗黒街のボスを演じているのですが・・・その後の渋いプレイボーイっぷりを予感させる”いかにもゲーブルらしい”役柄であります。スター女優であるジョーン・クロフォードと共にスクリーンに収まっても、存在感に引けを取らないどころか、スクリーンでの二人の相性は抜群・・・その後、共演作品が毎年のように作られたのは、当然のことのように思えるのです。


ボニーの弟ロドニーは暗黒街のボス・ジェイク(クラーク・ゲーブル)の手下となっていて、ナイトクラブに取材にきたスクラントンに、ロドニーはうっかりと口を滑らしてしまうのです。そして、その失態の責任を取るために、ロドニーはスクラントンを拳銃で撃たなければならなかったのでした。

一方、潜入調査中のボニーは、ナイトクラブに遊びに来ていたボブに、見つかってしまいます。しかし、調査を続けるためにも、ボニーはボブを冷たくあしらってしまうのです。思惑どおり、ボニーはジェイクを誘惑することに成功し、ガールフレンドとなってジェイクの部屋に潜入するのですが、そこでロドニーがスクラントンの殺人犯であることや、その経緯を知ることになってしまいます。

しかし、その時すでに、ジェイクはボニーの正体を見破っていて、ボニーを問い詰めるのです。そこにロドニーが突如現れて、激しい銃撃戦となり、ジェイクとロドニーは相撃ちして亡くなってしまいます。弟を救うことはできませんでしたが、事件現場から涙ながらに新聞社へ事件の経緯を報告したボニーの記事は、大スクープとなるのです。記者として認められたボニーですが、事件のショックから新聞社の仕事は辞めることになります。そんなボニーの目の前に現れたのは、誰あろうボブ・・・すべての経緯を知った彼は、再びボニーにプロポーズして「めでたしめでたし」となるのです。

「暗黒街に踊る/Dance, Fools, Dance」を男友達のボブの視点で観てみると・・・惚れていた社交界のわがまま娘が一文無しになったのでプロポーズしたところ断られ、その後未練タラタラで彼女が潜入調査をしている現場に行ってみたら思いの外冷たくあしらわれ、弟を亡くして傷心状態の彼女に再びプロポーズしたら受け入れてもらえたという物語なのであります。

「笑ふ罪人/Laughing Sinners」


クラーク・ゲーブルとジョーン・クロフォードの共演2作目は、同年(1931年)に公開された「笑ふ罪人/Laughing Sinners」・・・この作品ではクラーク・ゲーブルは、前作よりは大きな役で、二人いるヒロインの相手役のうちの”ひとり”を演じています。本作のような心の優しい男性像は、レット・バトラーにも通じるところもあり・・・クラーク・ケーブルの”男臭さ”だけではなく、優しく包み込む器が大きいイメージさえも、すでに漂わせているのです。

キャバレーの踊り子のアイビー(ジョーン・クロフォード)は、恋仲でもあるプロモーターのハワード(ニール・ハミルトン)と、贅沢で自由な生活を送っています。本作の冒頭では、ダンスホールで踊り、歌まで披露するジョーン・クロフォード・・・贔屓目にみてもミュージカルスターではないことを証明してしまっているような”出来”ですが・・・謳って踊って演じるというのが、当時のジョーン・クロフォードの”売り”ではあったことは確かなようです。

ある晩、ハワードは突然アイビーの前から姿を消してしまい・・・彼が金持ちの娘と結婚することを知ったアイビーは、橋の上から飛び降りて自殺しようとします。そんなアイビーを救ったのは、救世軍のカール(クラーク・ゲーブル)だったのです。救世軍(サーベンション・アーミー)は、楽器を演奏して歌いながら、鍋の中に寄付を募っている支援団体・・・踊り子などナイトクラブに関わる人々が”ふしだら”と世間に思われるのと対照的に、救世軍というのは善良な市民の典型として描かれているところがあります。


献身的に救世軍として活動するカールに心動かされて、その後、アイビーは救世軍に加入します。そして1年後・・・カールと救世軍の同志として共に各地を転々としながら活動を続けるアイビーの前に、ハワードが再び現れます。地味な服装で質素な生活をする救世軍の暮らしはアイビーには似合わない・・・以前のような贅沢な生活をさせてやると誘惑するハワードに、再び踊り子として復帰したいとアイビーは思ってしまうのです。しかし、そんなアイビーの揺らぐ心をを受け止めて、優しく説得するカールに、アイビーは再び目が覚めて・・・ハワードの誘惑を断固として断わります。そして、再び救世軍の一員として、カールと共に過ごしていくことを決心するのです。

笑ふ罪人/Laughing Sinners」は、ジョーン・クロフォード映画の典型的なパターンのひとつである「男ふたり女ひとりの三角関係」を描いていて・・・ハワードは「踊り子としての堕落した姿」、カールは「救世軍の一員として献身的に活動する正しい姿」という両極端な対比となっていて、最終的には「正しい」方を選択するという”オチ”により、少々説教臭い物語なのであります。

「蜃気楼の女/Possessed」


前2作と同じ1931年に公開された共演3作目の「蜃気楼の女/Possessed」となると、クラーク・ゲーブルの名前は、主役であるジョーン・クロフォードの次に大きく表記されるようになります。この作品の撮影中、ジョーン・クロフォードとクラーク・ゲーブルは肉体関係を持ったという噂があるのですが・・・当時、ジョーン・クロフォードはダグラス・フェアバンクス・ジュニアと結婚中、クラーク・ゲーブルはハリウッドデビューを手助けしたと言われる14歳年上の最初の奥さんと別れて二番目の奥さんと結婚したばかり・・・スキャンダルを恐れたMGM創始者ルイス・B・メイヤーの勧告により、二人は関係を解消させられたそうです。

都会に憧れるマリアン(ジョーン・クロフォード)は、田舎の箱工場の同僚のアル(ウォーレス・フォード)とは恋仲・・・ある晩、ニューヨーク行きの豪華列車の乗客ウォーリー(スキーツ・ギャラガー)に知り合い、ニューヨークに来ることがあったら訪ねておいでと言われるのです。ゆっくりと動く列車の車窓の中が、まるで絵画のように、マリアンの夢見る都会の生活を表しているようで、とても映画的な表現がされています。ウォーリーの冗談半分の言葉を鵜呑みにしたマリアンは、アルと喧嘩になってしまい・・・ひとりニューヨークへ旅立ちます。

ニューヨークのパークアベニューにあるウォーリーを訪ねると・・・「若い娘が都会で欲しいものを手に入れには、金持ちの男を見つけること。ただ、自分の知り合いなんかは紹介はしないけどね」と冷たい態度で、マリアンは追い出されてしまいます。しかし、ウォーリーを訪ねてきた弁護士のマーク(クラーク・ゲーブル)と強引に知り合いになったマリアンは、すっかりマークに気に入られるのです。

当初は田舎娘だったマリアンでしたが・・・マークと恋人関係になって、さまざまな教養を身につけて、3年後には社交界の花形となって、マークの友人たちには公認の仲となっていきます。ただ、独身主義者のマークはマリアンとの結婚などは全く考えていないようで・・・便宜上で、マリアンをモアランド夫人と名乗らせたりしていたのです。


ある日、実業家となったアルが、ニューヨークにマリアンを訪ねてきます。マークとマリアンが知り合いだと知ると、仕事の仲介を求めてくるアル・・・ビジネスで成功して、マリアンと結婚したいと思っているのです。一方、マリアンはマークとの結婚を望んでいるのですが、相変わらずマークには結婚の意志は無し・・・州知事として立候補することになったマークの”足手まとい”になるという気持ちから、マークにはアルと結婚するつもりだと告げてしまいます。

党大会で候補者のマークが演説中、反対派が「モアランド夫人とは何者だ?」という中傷ビラを巻いて、場内を混乱させようとします。会場にいたマリアンは、自らがモアランド夫人であることを名乗り、マークを弁護するのです。涙ながらに会場を後にするマリアンを追ってきたマークは、選挙の結果などは関係ない・・・と、マリアンを抱きしめます。その後、二人が結婚するのかは分かりませんが・・・とりあえずハッピーエンドと言えるでしょう。

「蜃気楼の女/Possessed」は、ジョーン・クロフォード映画の、もうひとつの典型的なパターンである「Rags to Riches」=「貧乏から金持ちになる」の”成り上がり”の物語で、当時の女性は自らの力で成功するのではなく、金持ちの男性と結ばれることが成功への近道であるかのようです。実際、ジョーン・クロフォード自身、貧しい家庭の出身でドサ回りの踊り子から、ハリウッドのスター女優にまでになったのですから・・・その”成り上がり”っぷりこそが、大衆からの人気を集めたのかもしれません。

「ダンシング・レディ/Dancing Lady」


前3作の公開後、ジョーン・クロフォードはオールスターキャストの1人として「グランド・ホテル」に出演・・・主演映画の興行成績も制作費も上昇して、名実共に「MGMの看板スター」となります。クラーク・ゲーブルもスター男優としての地位を着実に確立していて、共演4作目の「ダンシング・レディ/Dancing Lady」では、ジョーン・クロフォードと共にスターとしてクレジットされるまでになりったのです。ただし、トップに表記されているのは、ジョーン・クロフォードではありますが・・・。

バーレスクでストリッパーまがいの踊り子(またかよ!)のジェニー(ジョーン・クロフォード)は、警察の検挙で逮捕されるものの、彼女を見初めた青年大富豪トッド(フランチョット・トーン)に保釈金を支払ってもらった上に、生活のサポートも申し出されますが・・・自分は商売女ではなく純粋なダンサーだと断ります。ジャニーはブロドウェイの舞台に立ちたいと、舞台監督のギャラガー(クラーク・ゲーブル)を追い回しますが、一切相手にしてもらえません。そこで、ギャラガーの上司と知り合いであるトッドのコネを使って、ジャニーはギャラガーにオーディションまで漕ぎ着けるのです。稀にみるダンスの才能があるということで、ジョニーは即採用となるわけですが・・・そもそもジョーン・クロフォードのダンス自体がソコソコのレベルなので、説得力もへったくれもありません。


さて・・・本作もお馴染みのジョーン・クロフォード映画のパターンである「Rags to Riches」=「貧乏から金持ちになる」の物語であると同時に「男ふたり女ひとりの三角関係」のお話でもあります。その条件が、もしもジェニーがダンサーとして大成しなければトッドと結婚しなければならないというものだったのです。一方、ギャラガーとジェニーは喧嘩しながらも、お互いに惹かれていきます。あある日、突然、ジェニーは新作レビュー「ダンシング・レディ」の主役の座を射止めることになるのですが・・・ジェニーがダンサーとしての成功が約束されたことを悟ったトッドは、興行主を買収して公演を中止させてしまうのです。約束通りトッドとの結婚を決意したジェニーでしたが・・・トッドの策略を知ったジェニーはトッドに別れを告げ、自主公演をすることになったギャラガーの元へ戻り、再び「ダンシング・レディ」の主役の座をあっさり取り戻します。

本作は、ジョーン・クロフォードとクラーク・ケーブルの共演作品では、唯一日本でDVD化されているのですが・・・その理由は、本作がフレッド・アステアが初めてスクリーンデビュー(ダンスシーンのジョーン・クロフォードの相手役としてゲスト出演)した映画だからでしょう。本作のクライマックスとなるレビューシーンでは、フレッド・アステアが華麗なステップを披露します。また「42番街」などで知られるバスビー・バークレー風の幾何学的なダンスの演出は「本家」に迫る迫力です。ただ、ブロドウェイの裏舞台モノというよりは、あくまでもジョーン・クロフォードがスターが前提の映画・・・当然、レビューは大成功。トッドも成功を喜んで、何故かとんちんかんなプロポーズをして、再びジェニーに振られるという始末。結局、ジェニーはダンサーとしての成功するだけでなく、ギャラガーの愛を得るというご都合主義なエンディングとなっています。

「ダンシング・レディ/Dancing Lady」は、当時流行していたレビュー映画という形式を取り入れながらも、その後のジョーン・クロフォードとクラーク・ゲーブルのゴールデンコンビを決定づけた共演作品と言えるかもしれません。なお、本作で共演したフランチョット・トーンとジョーン・クロフォードは、その後(1935年)結婚することになるのですから、人生は分からないものです。

「私のダイナ/Chained」


ジョーン・クロフォードとクラーク・ゲーブルの共演作品で、ボクが一番好きなのが、共演5作目の「私のダイナ」であります。本作は「男ふたり女ひとりの三角関係」というジョーン・クロフォード映画では、何度も何度も繰り返し描かれるお馴染みの設定であるだけでなく・・・コメディ女優としては評価の低いジョーン・クロフォードには珍しく、コミカルな演技に冴えをみている稀な作品でもあるのです。

汽船会社の社長リチャード(オットー・クルーガー)の秘書であり、愛人でもあるダイナ(ジョーン・クロフォード)・・・リチャードは妻と別れて、仕事と私生活を支え続けてくれるダイナとの再婚することを約束します。しかし、リチャードの妻(マージョリー・ゲイキソン)は、離婚をあっさり拒否・・・妻の気持ちが変わるまで、ダイナを自分の会社の汽船での南米への旅行を奨めるのです。妻と愛人を鉢合わせさせて、離婚話を持ち出すというのは、なかなかエグいシチュエーションではあります。

その船内で、アルゼンチンで農場を経営する青年実業家マイク(クラーク・ゲーブル)マイクは、男友達のジョニー(スチュアート・アーウィン)をダシにして、ダイナと知り合うことには成功します。当初は、まったくマイクに気のないそぶりのダイナですが、ことあるごとにダイナにちょっかいをだしてくるマイクに、やがてダイナも心を許していくのです。客船内のプールや船のデッキで繰り広げられる恋の駆け引きは、相性のいいクラーク.ゲーブルならではです。


ブエノスアイレスに到着後も、マイクから通愛を受け続けて、牧場生活を経験したダイナは、マイクの気持ちを受け入れる決心をするのです。リチャードとの関係を清算するために、一旦ニューヨークに戻ったダイナを待ち構えていたのは、家族、子供を犠牲にしてまで妻と離婚をして結婚指輪を用意していたリチャード・・・マイクとの関係を打ち明けるチャンスを失い、ダイナはリチャードと結婚することになります。一方、ダイナを受け入れる準備をしているマイクの元には、ダイナからは船上での恋だったと別れの手紙が届くのです。

リチャードとの結婚生活も1年経ち、上流階級の夫人として多忙な生活を送るダイナですが、常に心は満たされていない様子・・・そんな時、銃ショップで偶然マイクと再会します。抑えきれない感情が燃え上がるダイナですが、自分のためにすべてを捨てたリチャードを裏切れないと、マイクには二度と会わないと伝えるのです。それにも関わらず、休暇中のリチャードとダイナの元を訪ねてきます。しかし、ダイナの友人だからと易しく対応するリチャード・・・その愛情の目の当たりにしてマイクは潔く身を引くことにするのです。ここで終われば、ダイナとマイクの悲恋物語となるのですが、マイクが立ち去った後、ダイナのマイクに対する思いに気付いたリチャードはあっさりと身を引いてしまいます。ダイナは、アルゼンチンのマイクの元へ嫁いでいってしまうのですから・・・なんとも無理矢理なハッピーエンドであります。

「私のダイナ/Chained」は、ご都合主義に貫かれたジョーン・クロフォード/クラーク・ゲーブル映画の典型的なパターンの作品・・・それ故に、会社社長のおじさまと青年実業家のあいだで揺れ動くという、当時、未曾有の経済不況の庶民にとっては無縁のハッピーエンドの物語、コミカルで洒落た恋の駆け引き、そして、ジョーン・クロフォードがとっかえひっかえする流行(?)のモードで着飾るという浮世離れしたお伽話として、純粋に楽しめるのです。

「結婚十分前/Forsaking All Others」


共演6作目となる「結婚十分前」は、ジョーン・クロフォード、クラーク・ゲーブルに加えて、ロバート・モントゴメリーという三大スターの主演というだけでなく、チャールズ・バターワース、ビリー・パーク、ロザリンド・ラッセルなどの芸達者な役者が脇を固めた作品・・・ジョセフ・L・マンキーウィッツによる脚本は、伏線とシチュエーションが絡み合い、コミカルな長台詞で畳み掛けるノンストップのスラップスティック・ロマンチックコメディとなっています。

メリー(ジョーン・クロフォード)、ディル(ロバート・モントゴメリー)、ジェフ(クラーク・ゲーブル)の3人は幼馴染み・・・しばらくスペインで生活していたジェフは、メリーにプロポーズの決心をして、ニューヨークに戻ってきます。しかし、その翌日メリーとディルは結婚式を控えていることを知り、ジェフは、自分の気持ちは伝えずに、幼馴染み二人の結婚を祝福するのです。

ところが・・・結婚式前夜にも関わらず、ディルは元彼女のコニー(フランシス.ドレイク)からの求愛に、あっさりと応えて、ディルとコニーは姿をくらましてしまうのです。翌日、ウエディングドレスを着て教会での結婚式を待つメリーに届けられた知らせは、昨晩ディルがコニーと急に結婚してしまったということ・・・こんなアリエナイ状況で「男ふたり女ふたりの三角関係」が成立して、ロマンチック・コメディになりえるのかと思ってしまいます。傷心でメリーは田舎に引きこもるのですが・・・斧で薪割りしてストレス発散という場面が、本作で登場しているのが笑えます。まるで「血だらけの惨劇」や「愛と憎しみの伝説」の斧を振り上げているシーンを予見しているかのようです。


嫉妬深くて意地の悪いコニーは、メリーを自宅でのパーティーに招待するのですが、メリーはディルとの関係を断ち切れたことを証明するかのように、ジェフを連れ立ってパーティーに参加します。メリーとの再会に驚きながらも、すでに新妻コニーに心が冷めてしまったディルは、メリーとヨリを戻そうとするのです。ディルをまだ愛していることを自覚したメリーは、ジェフの助言も聞かず、ディルと再び付き合い始めます。

ディルとメリーが二人で田舎へドライブに行って、ディルの別荘に泊まることになるのですが・・・、車がポンコツで事故を起こすとか、着替えのないディルが女性モノのガウンを着るとか、火の不始末で火事が起こるとか、スラップスティックなコメディが展開されます。とは言っても、本作は”ヘイズコード”に従った作品・・・不倫の描写は御法度です。ただ・・・結婚式の前日にドタキャンした男と楽しくデートするというのは、倫理的にどうであるかよりも、感情的に理解に苦しみます。

ジェフのサポートのよりディルとコニーは離婚・・・メリーとディルが再び結婚することになるのです。不倫は倫理的に問題だけど、離婚することは問題なしということのようです。ディルとメリーの二回目の結婚式前日・・・メリーと二度と会わないことを決意してスペインに戻ることにしたジェフは、今まで語ることのなかった思いをメリーに伝えます。唐突に心を揺らぐメリー・・・今度はメリーがディルとの結婚式を翌日に控えて、ジェフの後を追ってスペイン行きの船に乗るのです。船を見送るしかないディルは、埠頭に置いてきぼりになって、ハッピーエンドとなります。

「結婚十分前/Forsaking All Others」は、ジョーン・クロフォードだけがスターという作品ではなく、クラーク・ゲーブルやロバート・モントゴメリーが同格で主演の作品です。また、当時始まったばかりの”ヘイズコード”の倫理観が物語を湾曲させていて、ある意味、この時代の映画作品ならではの”味”を醸し出していると言えるのかもしれません。

「空駆ける恋/Love on the Run」


「空駆ける恋」は、ジョーン・クロフォードとクラーク・ゲーブルの共演作7作目・・・前年(1935年)にジョーン・クロフォードと結婚したフランチョット・トーンも出演しており「ダンシング・レディ」のトリオの復活といったところです。ただし、本作の主役はジョーン・クロフォードとクラーク・ゲーブルの二人・・・フランチョット・トーンはジョーン・クロフォードの相手役ではなく、クラーク・ゲーブルのライバルの新聞記者という少々損な役回りを演じています。

アメリカの富豪の娘・サリー(ジョーン・クロフォード)は、ロンドンで貴族の男性との結婚式を控えていたのですが・・・彼女の結納金目当てだと知り、結婚式直前になってウエディングドレス姿で教会から逃げ出します。サリーの結婚式を取材するために派遣されていた新聞記者のマイケル(クラーク・ゲーブル)は、自分の素性を隠して、サリーの逃避行を手伝わされる羽目なるのです。また、男爵夫妻の取材でロンドンに居合わせたマイケルのライバル新聞記者のバーニー(フランチョット・トーン)も加わり、ロンドンからフランスに舞台を移して、実はスパイだった男爵夫妻(レジナルド・オーウェン、モナ・バリー)のトラブルにも巻き込まれていきます。


その後、サリーとマイケルが男爵夫妻の小型飛行機を盗み出したり、フランスの農場に不時着したり、スパイに間違われたり、お屋敷に変装して忍び込んだりと、ドタバタの展開をしていく本作・・・バーニーは、部屋や車に閉じ込められたり、マイケルの身代わりになったりと散々な扱いを受けるという役回りです。スクリューボール・コメディらしく、早い展開と複雑に絡む伏線で、ずっとドタバタが続くのですが・・・最後はサリーとマイケルの恋が実り「めでたし、めでたし」なるわけです。

クラーク・ゲーブルは、得意のコミカルな演技を披露して、女性ファンを虜にする魅力を発揮しています。しかし、お金持ちのお嬢さま役としはて年齢的に厳しくなってきた上に、コメディとの相性が決して良いないジョーン・クロフォードにとっては、適した作品ではなかったようです。それでも、本作は当時大ヒットしたそうなので・・・如何にクラーク・ゲーブルの人気が絶大であったということかもしれません。

「空駆ける恋/Love on the Run」は、当時の流行りだったスクリューボール・コメディの典型的な作品です。ただ、ジョーン・クロフォードとクラーク・ゲーブルの共演作品としては、ある意味、分岐点なのかもしれません。これまでは、ジョーン・クロフォードが主役スターであり、その魅力を発揮するための共演だったのですが・・・本作では、クラーク・ゲーブルの魅力を引き出すことに、制作側の意図が変わってきたような気がするのです。

「ストレンジ・カーゴ/Strange Cargo」


1939年12月の真珠湾襲撃後、日本とアメリカの間で開戦となり、ハリウッド映画が日本では一切公開されなくなります。1940年に公開されたジョーン・クロフォードとクラーク・ゲーブルの最後の共演作であり8作目となる「ストレンジ・カーゴ(原題)」は、日本で劇場公開されることもなく、その後ビデオ化もされることもないまま(テレビ放映は不明)・・・日本で視聴することの難しい作品になってしまったのです。

本作は、これまでの共演作品のようなジョーン・クロフォード主演を主人公とした女性映画ではなく、クラーク・ゲーブル主演に相応しい”男臭い”作品となっています。前年(1939年)にアメリカで公開された「風と共に去りぬ」のレット・バトラー役で、ハリウッドの「キング」と呼ばれるようになったクラーク・ゲーブル・・・一方、1938年には「ボックス・オフィス・ポイズン」(出演料のわりに興行成績に貢献しないスター)のひとりとして名前を挙げられるなど、人気に陰りが見え始めていたジョーン・クロフォード。しかし、前年の「ザ・ウーメン(原題)/The Women」(日本未公開)で実力派女優として歩み始めたジョーン・クロフォードは、本作のような”汚れ役”を求めていたのかもしれません。

ジャングルに囲まれたフランスの流刑地ギアナに収監されている囚人のヴァーン(クラーク・ゲーブル)は、ある日、埠頭の労働中にナイトクラブの歌手ジュリー(ジョーン・クロフォード)と知り合います。脱走を試みたヴァーニーは、ジューリーの部屋に隠れるのですが・・・ジュリーに心を寄せるピッグ(ピーター・ローレ)に通報されて、ヴァーニーは刑務所に戻されて、ジュリーはナイトクラブを解雇されてしまいます。

刑務所ではモール(アルバート・デッカー)、キャンブルー(イアン・ハンター)、テレズ(エドワルド・チャンネッリ)、へシアー(ポール・ルーカス)、フロウバート(J・エドワード・ブルムバーグ)、デュファンド(ジョン・アリージ)らが脱獄を計画・・・ヴァーンはジュリーを連れて一緒に逃げるのです。ジャングルを抜けて、海岸から帆掛け船で大陸を目指して出航します。


ジャングルでのサバイバル、帆掛け船の密室劇という極限状態の中で、キリストのようなキャラクターであるキャンブルーが、聖書からの言葉が繰り返し引用されるなどクリスチャン的な思想が色濃く、囚人の脱走劇というよりも宗教観を問うようなディスカッションドラマとなっていくのです。

ヴァーン、ジュリー、キャンブルー、へシアーだけが生き残るのですが・・・ジュリーはヴァーンを逃がすために、ピッグと一緒について行くという取引をします。へシアーは裏切って姿をくらまし、キューバに逃げようとしていたヴァーンは、キャンブルーによって心を入れ替え、流刑地へ戻ることを決意します。コロニーにピッグと戻ったジュリーでしたが・・・ヴァーンが刑期を終えて出所するまで待っていることを誓うのです。

「ストレンジ・カーゴ/Strange Cargo」は、ジョーン・クロフォードとクラーク・ゲーブルの最後の共演作品・・・宣伝や映画館のビルボードで、クラーク・ゲーブルの名前がジョーン・クロフォードよりも上に表記された唯一の共演作品でもあります。本作のジュリー役というのは、世慣れしていて気の強い自立した女性像という1940年代以降のジョーン・クロフォードの代名詞となるようなキャラクター・・・そんな女性像を受け止める相手役としても、クラーク・ゲーブルとの相性は抜群だったので、本作以降共演作品が作られなかったのは、残念でなりません。

「ゼイ・オール・キス・ザ・ブライド/They All Kissed the Bride」


クラーク・ゲーブルが最も愛した女性と言われるのがキャロル・ロンバート・・・ふたりは1939年に結婚しました。1942年にキャロル・ランバートが不慮の飛行機事故で亡くなるまで、クラーク・ゲーブルの最も幸せな時期であったと言われています。事故後、クラーク・ゲーブルを真っ先に支えたのは、誰あろうジョーン・クロフォードでありました。

「ゼイ・オール・キス・ザ・ブライド/They All Kissed the Bride」はキャロル・ランバートが得意とした洒落たスクリューボール・コメディ映画・・・しかし、キャロル・ランバードの急死によって、制作中止に追い込まれそうになってしまったのです。そこで、映画会社の壁を乗り越えて主役を引き受けたのが、誰あろうジョーン・クロフォードであります。そして、本作の出演料全額をキャロル・ランバートの名前で、アメリカの赤十字社に寄付もしています。

マーガレット(ジョーン・クロフォード)は父親からトラック会社を譲り受けて経営するバリバリのビジネスウーマン・・・妹のヴィヴィアン(ヘレン・パリッシュ)が行われている中、記者のマイク(メルヴィン・ダグラス)は屋敷に忍び込み、マーガレットに近づきます。男性と知り合う機会の少なかったマーガレットは、あっさりとマイクに惹かれてしまうのですが・・・恋すること自体が初めての彼女は、ときめくとぼーっとしてフラフラしちゃうという設定なのですから、なんとも滑稽だったりするのです。


しっかり者のようで実は天然なマーガレットと、チャーミングで洗練されたマイクの掛け合いは、キャロル・ランバートが演じていたら・・・と、想像せずにいられませんが、コメディと相性が悪いと言われるジョーン・クロフォードにしては、共演者(特にメルヴィン・ダグラス)の好演に助けられて、好演しています。ダンスコンテストでアクロバティックに踊ったり、酔っぱらってラブシーンを演じたりと、ジョーン・クロフォードにしては珍しく(?)軽快に弾けまくっているのです。

バリバリのビジネスウーマンでも恋をしてしまえば、普通の弱い女になってしまう・・・という展開が、まったくジョーン・クロフォードらしくありませんが、ジョーン・クロフォードのドレードマークとなるようなスタイルを確立し始めているような作品のような気がします。1940年代第二次世界大戦中の流行でもあったのですが・・・前髪にボリューウを持たせて後頭部にパーマをあてるというヘアスタイル(ちょっとサザエさんっぽい)と、首から肩がほぼ直線になるほどのカッチリしたショルダーパッドのドレスやジャケットは、その後のジョーン・クロフォードの典型的なルックスです。

「ゼイ・オール・キス・ザ・ブライド/They All Kissed the Bride」は、キャロル・ランバートの不幸によって、ジョーン・クロフォードが代役を務めることになったわけですが・・・そもそも、クラーク・ゲーブルとの親しい関係があったからこそ実現したこと。当時、キャリア的に迷走していたジョーン・クロフォードにとっては、女優としての新たな可能性を見せる絶好の機会でもあったわけで、単なる”おひとよし”の人助けではない”したたかさ”をも窺わせます。ただ、本作以降、ジョーン・クロフォードはコメディ映画の出演はありません。

その後のジョーン・クロフォードとクラーク・ゲーブル


1940年の「ストレンジ・カーゴ/Strange Cargo」以降、ジョーン・クロフォードとクラーク・ゲーブルが共演することはありませんでしたが、二人の関係はハリウッドの関係者が推測していたよりも長く・・・クラーク・ゲーブルが亡くなる1960年まで続いていたとジョーン・クロフォードは晩年告白しています。

ハリウッドのスターになるためには枕営業なんてへっちゃら・・・共演者、監督は勿論、カメラマンや脚本家とも肉体関係を持ったと言われるジョーン・クロフォードは、男社会の中で「女」の武器を120%利用したと言っても良いでしょう。クラーク・ゲーブルもまた、俳優としてブレイクするまでは財力や権力のある年上女性と結婚していました。

ジョーン・クロフォードとクラーク・ゲーブルは、結婚することはありませんでしたが(ジョーン・クロフォードは生涯4回、クラーク・ゲーブルは5回結婚)・・・ジョーン・クロフォードは、後にクラーク・ゲーブルについて「私の出会った男性の中で、最も男性的な人だった」と語っています。「男性的」というのが、肉体的な相性を示唆しているのでは・・・と思うのは邪推かもしれませんが、ジョーン・クロフォードにとって、最も愛した男性はクラーク・ゲーブルでであったような気がしてならないのです。


「暗黒街に踊る」
原題/Dance, Fools, Dance
1931年/アメリカ
監督 : ハリー・ボーモント
出演 : ジョーン・クロフォード、クリフ・エドワーズ、レスター・ヴェイル、ウィリアム・ベイクウェル、クラーク・ゲーブル、アール・フォックス
1932年3月日本劇場公開

「笑ふ罪人」
原題/Laughing Sinners
1931年/アメリカ
監督 : ハリー・ボーモント
出演 : ジョーン・クロフォード、ニール・ハミルトン、クラーク・ゲーブル、マジョリー・ランボー、ガイ・キッピー、クリフ・エドワーズ
1933年10月日本劇場公開

「蜃気楼の女」
原題/Possessed
1931年/アメリカ
監督 : クラレンス・ブラウン
出演 : ジョーン・クロフォード、クラーク・ゲーブル、ウォーレス・フォード、スキーツ・ギャラガー、フランク・コンロイ、マージョリー・ホワイト
1933年1月日本劇場公開
TSUTAYA復刻ライブラリーにてDVDリリース

「ダンシング・レディ」
原題/Dancing Lady
 1933年/アメリカ
監督 : ロバート・Z・レオナード
出演 : ジョーン・クロフォード、クラーク・ゲーブル、フランチョット・トーン、フレッド・アステア、メイ・ロブソン、イヴ・アーデン、ゴードン・エリオット
1934年11月日本劇場公開

「私のダイナ」
原題/Chained
1934年/アメリカ
監督 : クラレンス・ブラウン
出演 : ジョーン・クロフォード、クラーク・ゲーブル、オットー・クルーガー、スチュアート・アーウィン、ウナ・オコナー、エイキム・タミロフ、ウォード・ボンド、マージョリー・ゲイキソン
1935年6月日本劇場公開

「結婚十分前」
原題/Forsaking All Others
1934年/アメリカ
監督 : W・S・ヴァン・ダイク
出演 : ジョーン・クロフォード、クラーク・ゲーブル、ロバート・モントゴメリー、チャールズ・バターワース、フランシス.ドレイク、ビリー・パーク、ロザリンド・ラッセル
1935年10月日本劇場公開

「空駆ける恋」
原題/Love on the Run
1936年/アメリカ
監督 : W・S・ヴァン・ダイク
出演 : ジョーン・クロフォード、クラーク・ゲーブル、フランチョット・トーン、レジナルド・オーウェン、モナ・バリー、イヴァン・レベデフ
1937年5月日本劇場公開

「ストレンジ・カーゴ(原題)」
原題/Strange Cargo
1940年/アメリカ
監督 : フランク・ボザージェ
出演 : ジョーン・クロフォード、クラーク・ゲーブル、ピーター・ローレ、イアン・ハンター、ポール・ルーカス、アルバート・デッカー、エドワルド・チャンネッリ、J・エドワード・ブルムバーグ、ジョン・アリージ
日本劇場未公開

「ゼイ・オール・キス・ザ・ブライド(原題)」
原題/They All Kissed the Bride
1942年/アメリカ
監督 : アレキサンダー・ホール
出演 : ジョーン・クロフォード、メルヴィン・ダグラス、ローランド・ヤング、ビリー・バーク、アレン・ジェンキンズ、ヘレン・パリッシュ
日本劇場未公開



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