2016/08/01

ドン引き確実(?)な”悪趣味映画”の金字塔!・・・浣腸強姦魔を描いた1970年代ポルノ黄金期につくられた伝説のハードコアポルノ~「ウォーターパワー アブノーマル・スペシャル/Waterpower」~


1970年代の映画雑誌はエロ雑誌の役割も担っていて・・・ポルノ映画の紹介や広告も掲載されていたものです。特に、ボクの記憶に残っているのが、洋物ポルノ映画として公開された「ウォーターパワー アブノーマル・スペシャル」であります。当然のことながら「ウォーターパワー」が「浣腸」のことだとは、当時のボクは理解していなかったのですが・・・尋常ではない何かを嗅ぎとっていたのかもしれません。


「ウォーターパワー アブノーマル・スペシャル/Waterpower」は、1970年代のポルノ黄金期の一作であります。主演は1970~80年代にポルノ男優として第一線で活躍したジェイミー・ギリスで、監督には「ディープ・スロート」のジェラルド・ダミアーノも名前も連ねられています。

日本のアダルトビデオでは、浣腸プレイやスカトロは珍しくもないのかもしれませんが・・・アメリカでは、アレを噴出するシーンはタブーとされていて長年”封印”されていたのです。今回、ボクが視聴したのは「ディレクターズ・カット版」と銘打ったもので、現存するフィルムから修復した81分のバージョンであります。

まず「本作が実話を元にした作品であり、場所や人の名前は被害者を守るために変更していて、このような事件はどこでも起こりえる・・・あなたにも」というテロップが映されます。イリノイ州に実在したマイケル・H・ケニアンという人物による強姦浣腸事件をもとに、舞台をマンハッタンに置き換えているです。

前年に制作された「タクシードライバー」に影響を受けているようで・・・大都会の中で社会不適合者が狂気を暴走させることより、現代社会のゆがみを描こうとする制作者の意図を垣間見せるのですが、本編のドン引き必須の浣腸プレイのインパクトに、そんなことは頭からすっかり抜けてしまいます。


主人公のバート(ジェイミー・ギリス)は、マンハッタンに暮らす性的に鬱屈した男・・・隣人の女性(クレア・カーソン)を望遠鏡で覗いている”ストーカー”で、自分勝手に彼女を美化しているのです。ある夜、立ち寄った風俗店で、ニセ医者(エリック・エドワーズ)と風俗嬢のニセ看護婦(ルレーネ・ウィロピー)が、ニセ患者パメラ(ジョアンヌ・シルバー)に行なっていた浣腸プレイを見学させてもらって、バートは異様な興奮を覚えてしまいます。


さっそく浣腸セットを購入して帰宅したバートが、隣人の女性宅を覗いていると、ボーイフレンドとエッチに興じる彼女の姿が・・・。積極的にエッチを楽しむ淫乱な彼女の姿を見て「こんな女じゃないはずだ!」と怒りを覚えるバート。その夜、彼女の部屋に忍び込み、汚い言葉で彼女を罵倒しながら、強姦・・・さらに、汚れた彼女を”浄化”するために、浣腸をするのです。彼女がアレを噴出すると同時にバートは射精・・・すっかり浣腸プレイのヤミツキになってしまい”浣腸強姦魔”として、世の中の汚れた女性を”浄化”することに使命感を燃やすのであります。


道で見かけた若い女性二人の後をつけてバートが部屋に忍び込めば・・・暇を持て余した二人はレズビアンセックスを開始(!)。すかさずバートは割り込んで、二人を罵りながら、強姦・・・当然のことながら、二人とも浣腸で”浄化”されてしまうのです。

日本のアダルトビデオのように、女性を侮辱したり、嫌がるのを押さえつけて強姦するポルノというのは、アメリカでは殆どつくられません。女性の意志に反した行為は、例え性的ファンタジーであっても好ましくないという暗黙の規制があるようなのです。まぁ、蔑まされたいマゾ女性以外の女性にとって、本作は”不快極まりない”映像であることは、今も昔も変わらないと思いますが。


新聞でも浣腸強姦魔が報道されるようになり、警察も動き始めます。婦警のイレーネ(C・J・ラング)は、殺人課の刑事ジャック(ジョン・ブーコ)と、この事件の調査パートナーとなるのですが、まずは彼を部屋に連れ込んでエッチ。もちろん(?)ジャックもアナル好きで・・・浣腸強姦魔の調査に打ってつけの刑事だったのかもしれません。イレーネの囮調査によって、早々にバートとの接触に成功するのですが・・・すぐに正体がばれてしまったイレーネは強姦されて、他の被害者と同様に浣腸で”浄化”されてしまうのです。そして、バートは警察に捕まることもなく逃げ切ってしまいます。

「去年13万1468件の強姦事件がアメリカ国内で報告されたが、その中で僅か2656件しか解決していない」というテロップが映されて、本作はあっさりエンディングを迎えます。まるで社会派ドラマのような”オチ”に「いまさら、何を真面目に~」とツッコミを入れたくなります。

浣腸を含めて「SMプレイ」は、ジェイミー・ギリス本人の性的嗜好でもあるようです。ニューヨークで真夜中に放映されていたケーブルテレビのアダルトチャンネルで、サディスティックな性癖があることを、彼が飄々と語っていたことを覚えています。ジェイミー・ギリスにとっては自分のフェチを実行していただけ・・・1990年には「ウォーキング・トイレット・ボウル=歩く便器/Waking Toilet Bowl」という、さらにハードなスカトロ・ポルノにも出演しています。

ジェイミー・ギリスの言葉責めや”浣腸プレイ”を語たる数々の台詞は、フェチを持っていない者からすると、悪趣味な”ギャグ”にしか聞こえません。浣腸=浄化という”理屈”は、SMプレイとしては”理”にかなっていて(?)、哲学的な思想に繋がるのも理解できないないわけではありませんが・・・やはり、本作は恐いもの(汚いもの?)見たさの「コメディ映画」として観るの”王道”ではないでしょうか?

今年のカナザワ映画祭(2016年9月20日午後9時15分より)で、噴出場面がカットされていない”66分”のフランス公開版「ウォーターパワー アブノーマル・スペシャル」が上映することが決定したそうです。カナザワ映画祭10周年を記念して行なわれた「オールタイム・ベスト投票」で、堂々の第1位に選ばれたそうで、待望(?)のリバイバル特別上映となったのこと・・・ホント「みなさん、お好きなのね~」としか言えません!


「ウォーターパワー アブノーマル・スペシャル」
原題/Waterpower
1977年/アメリカ
監督 : ショーン・コステロ、ジェラルド・ダミアーノ
出演 : ジェイミー・ギリス、エリック・エドワーズ、マルレーネ・ウィロピー、C・J・ラング、シャロン・ミッチェル、クレア・カーソン、ジョアンヌ・シルバー
1980年4月26日より日本劇場公開
2016年9月20日「カナザワ映画祭」にて上映


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