2016/12/02

「アメリカンギニーピッグ」シリーズの2作目は”会心の一作”!?・・・観るに耐えない医療系拷問と鬼レベルにトラウマなラブシーン~「アメリカンギニーピッグ ブラッドショック!!/American Guinea Pig : Bloodshock」~


以前、このブログで書いた「ギニーピッグ」シリーズのアメリカ版スピンオフ「アメリカンギニーピッグ~血と臓物の花束~/American Guinea Pig : Bouquet of Guts and Gore(めのおかし参照)から約一年・・・2作目となる「アメリカンギニーピッグ ブラッドショック!!/American Guinea Pig : Bloodshock」のDVD/Blu-rayがリリースされました。

本作の舞台となっているのは、基本的に監禁されている部屋と手術部屋のみ・・・実際に撮影が行なわれたのは、「アメリカンギニーピッグ」シリーズのエグゼプティブ・プロデューサー(本作では脚本も担当)であるステファン・バイロ氏が以前レンタルビデオ屋を経営していたビルの隣にあった廃屋の医療施設(現在はリノベーションされて住居になっている)で、わざわざセットを組んだのは拘束部屋”だけ”だったそうです。極めて低予算であったことが伺えます。


壁にクッションが貼られた小さな拘束部屋に閉じ込められている中年男(ダン・エリス)・・・マッドドクター(アルベルト・ジョヴァネッリ)から、繰り返し繰り返し医療器具で拷問を受けています。何も説明なしに監禁されているという「ソウ」シリーズではお馴染みのソリッド・シチュエーション・スリラー仕立てといったところで、淡々と行なわれる拷問が描かれるのです。

アシスタントの男に顔を殴られる、話せないように舌先を切断される、股間や膝をハンマーで殴られる、ペンチで歯を抜かれるなどなど、中年男性は顔を歪めて苦痛に耐えて続けます。極めつけは、糸のこで骨を切断されて骨を延長する器具を取り付ける手術・・・どう考えても、これほどの手術に何らかの薬なしに痛みに耐えることはアリエナイので、何らかの麻酔(麻薬?)などを投与されているのかもしれません。


ゴア描写を”売り”にするならば、リアルな血や肌の色を見せつけるべきなのかもしれませんが、本作の大半が白黒の映像ということもあり、残虐性は控えめになっています。また、繰り返し切ったり縫い合わせられる手術部分をクロースアップで撮影しているので、慣れてしまえば(?)少々退屈な映像に感じるかもしれません。もしも、これらのシーンがフルカラーの映像だったならば、皮膚と筋肉のシリコン模型のプヨプヨ感が”ニセモノ”っぽく見えるてしまったかもしれないし、エンディングシーンのインパクトを際立たせる意味では、効果的であるとは言えます。

ここからエンディングのネタバレを含みます。


中年男が監禁されている部屋の壁から、メモ書きが差し込まれ始めます。隙間から見える手から若い女(リリアン・マッケニ)らしく・・・彼女は紙と鉛筆を所持することが許されているようなのです。映画の中盤になると、今まで中年男のみだった視点から、この女性の視点からも描かれていきます。

どうやら、彼女の方が先に監禁/拷問されているらしく・・・既に骨延長器具などが体に取り付けられており、常に朦朧とした状態の中、中年男と同じように繰り返し体を切られては縫い合わされるという拷問的な手術を施されているようなのです。監視のアシスタントに見つからないように、メモの読後には食べてしまうことをしながら、次第に短いメモ書きを通じて、中年男と若い女はコミュニケーションを深めていき、次第にお互いを特別な存在として感じ始めていきます。


前作の「アメリカン・ギニーピッグ~血と臓物の花束~」は、単に人体分解の即物的なトーチャーポルノでしたが・・・本作の主人公の中年男と若い女を演じているダン・エリスとリリアン・マッケニーは台詞らしい台詞がないにも関わらず、精神的にも肉体的にも極限まで追い詰められた状態を、表情や目の動きで見事に演じきっており、映画作品として作られていることが明らかです。

遂に、若い女は反撃にでて、マッドドクターらにメスを突き刺します。中年男のいる監禁部屋へ行って一緒に逃亡するのかと思いきや・・・二人は監禁部屋の中で抱き合い、お互いの傷を愛撫し始めるのです。徐々に抱擁はエスカレートして、お互いの傷口を広げて、舐め合ったり、傷口を広げたりして、ドンドン血だらけになっていきます。


白黒だった画面は、徐々にカラーに変化していき・・・血だらけで内蔵を引き抜き合って息絶えていく二人を姿を、まるで「ラブシーン」のように映し出すのです。繰り返し行なわれた拷問によって人格を失っていたかのような二人が、共有した苦痛の中で目覚めた愛情表現は、お互いを死へ導くことだったということなのでしょうか?あまりにも究極の状況なので、理解不可能な行為ではありますが・・・。

脚本を担当したステファン・バイロ曰く、本作は「ラブスートリー」ということですが・・・拷問する”さま”を映画にするは”サディスト”的な嗜好であると同時に、自らも拷問を受けたいという”マゾキスト”的な願望もあるのかもしれません。あの「ネクロマンティック」のエンディングで、死体愛好者の男が、自分の腹にナイフを刺しながらマスターベーションをすることによって得られる”死に際の恍惚感”に繋がっていくのです。

中年男と若い女の死後、相変わらずマッドドクターは犠牲者を監禁して拷問をしています。ここで本編は終わるのですが・・・エンディングタイトルをバックに、中年男と若い女の監禁される前の様子が描かれます。どうやら、彼らはそれぞれ自分の家族を惨殺した殺人者であり、その罪の償いとして拷問されても仕方なかった・・・という”オチ”のようなのです。”設定”も”オチ”も、結局「ソウ」シリーズと同じというところは”イマサラ感”が拭えません。

何かとツッコミどころのある作品ではありますが・・・「ギニーピッグ」のタイトルに相応しいトラウマを残す作品ではあります。シリーズ2作目となる本作「アメリカンギニーピッグ ブラッドショック!!」は、今後の「アメリカンギニーピッグ」の布石となる”会心の一作”となるかもしれません。


「アメリカンギニーピッグ ブラッドショック!!」
原題/American Guinea Pig : Bloodshock
2015年/アメリカ
監督 : マーカス・コーチ
脚本 : ステファン・バイロ
出演 : ダン・エリス、リリアン・マッケニー、アルベルト・ジョヴァネッリ
日本劇場未公開
2017年1月7日DVDリリース


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